CMOの43%がAIに年間1,500万ドル超を投資――BCG調査

公開日 : 2026.06.23
著者 :
ボストン コンサルティング グループ

世界最大の広告祭「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル2026」が6月26日までフランス南部カンヌで開催されている。ボストン コンサルティング グループはこれに合わせ、世界各国の企業の最高マーケティング責任者(CMO) 300人を対象に、AI活用に関する調査を行い、レポート「Making the Agentic Marketing Transformation a Reality」を発表した。

AI投資は個別ツールからマーケティング全体の運営基盤へ

今回の調査では、CMOの43%が、AIに年間1,500万ドル以上投資していると回答。前年の28%から大きく伸びている。また、そのうち41%は、E2Eのワークフローを統合するオーケストレーションへの投資を大幅に拡大している。

投資領域で最も大きな割合を占めるのはマーケティングとテクノロジーを組み合わせた「マーテック」とデータで、2025年から11〜12ポイント増加している(図表)。これらはコスト効率の向上に加え、成長や業務スピードの大幅な改善、さらにはキャンペーンサイクルの短縮をもたらす。実際に、B2C(消費者向け)企業のCMOの31%、B2B(企業向け)企業のCMOの20%は、AIエージェントを活用したマーケティングへの変革によって、収益面で測定可能な大きな成果が生まれていると回答した。

AI投資において、最優先事項としている領域について質問し、回答をまとめた図表。テクノロジーとデータが大きな割合を占める

AI投資の第一波では、コンテンツ生成やパーソナライゼーション、チャットボットなど、個別ツールへの投資が中心だった。しかし、それらは必ずしも相互に連携しておらず、断片的な活用にとどまるケースも少なくなかった。

第二波ではプロセス間の連携を円滑にし、より適切な意思決定を可能にすることで、事業成果の向上につなぐことへと重点が移った。その結果、データや効果測定、テクノロジー、デジタル顧客体験、人材など、AI活用を大規模に展開するために必要なものへの投資が優先された。

そして現在始まりつつある第三波は、AIをマーケティング全体に定着・拡張するための運営基盤の構築に焦点を当てている。先進的な企業は「AIツールやAIエージェント、人による業務プロセスをどのように連携させ、継続的に運営していくか」に関心を移しており、そうした企業のCMOは、次の3つの領域で他社と差をつけ始めている。

  • 大規模言語モデル(LLM)によって、顧客が商品に興味を持ってから購入するまでに至る「カスタマージャーニー」が変わる中、競争力を強化するための新たなケイパビリティ(組織能力)獲得に向けた投資を行うこと
  • AI時代に適応した組織への再設計を進めること。これには、役割や人材、組織構造の見直しに加え、テクノロジーパートナーや広告代理店を含むエコシステムの進化も意味する
  • ブランドに対する深い理解と、優れたマーケターの実際の業務プロセスに基づき、AIエージェントを中核とした最新のテクノロジー基盤を構築すること

従業員のアップスキリングも不可欠

また、従業員のアップスキリングは、AIエージェントを活用したマーケティング組織を実現するために重要な要因であり、複数のCMOが「AI人材は自分たちで生み出さなければならない」と言及している。調査では、CMOの80%が、組織のあらゆる階層を対象に、AIに特化したアップスキリングプログラムに大規模な投資を行っていると回答した。また、CMOの79%が、責任あるAIや倫理に関する研修を導入し、2025年から10ポイント増と最も大きく変化した。

たとえば、あるテクノロジー企業のCMOは、毎週月曜の朝に新しいツールを紹介する5分間の動画を載せたメールをチームに送り、メンバーに継続的な学習習慣を促している。企業が必要なAI人材を外部から十分な規模で採用できない中、従業員を体系的かつ抜本的にスキルアップさせることは不可欠だ。

レポートの共著者で、BCGのマーケティング領域のグローバル責任者であるLauren Wienerは次のように述べている。「マーケティング組織はAIを中心に再設計されつつあり、CMOには、いち早く変革に着手することで、自社だけでなくパートナーを含むエコシステム全体を最適化し、企業価値を創出する機会がある」

調査レポート:Making the Agentic Marketing Transformation a Reality(2026年6月)

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