中東情勢で6割の企業が価格転嫁を実施、消費者の6割は5%の値上げを許容――BCG調査

BCGは日本の企業経営者110人と消費者1,000人を対象に、中東情勢の不安定化に伴う商品・サービス価格やコスト上昇への影響について調査した。

中東情勢の影響を受けた企業の9割が商品・サービスの価格転嫁を実施・検討しているが、約5割はコスト上昇分の半分以下の価格転嫁にとどまった。

中東情勢の影響で約9割の企業が価格転嫁を実施・検討、今後さらなる価格改定も

2026年4月時点で、会社・事業において中東情勢の影響があると回答した日本の経営者のうち、約6割はすでにコスト上昇分の一部または大部分を価格に転嫁済みであることがわかった(図表1)。現在価格転嫁を検討中と答えた経営者も合わせると約9割に上る。また、約7割の経営者が今後3~6カ月で追加的な価格改定を行う可能性が高いと回答した。

コスト上昇への対応および今後3~6カ月の追加的な価格改定の可能性を示す図表。約6割が価格転嫁を実施済み、約7割はさらなる価格改定を行う可能性

一方、価格転嫁を行う際の主な障壁について尋ねたところ、44%が「顧客の価格抵抗・反発」、42%が「競合他社との価格競争」、40%が「需要減少への懸念」を挙げ、4割超の経営者が顧客関係の悪化や価格競争力の低下による取引減少を強く懸念している(図表2)。

価格転嫁を行う際の主な障壁を示す図表。4割超が顧客関係の悪化や価格競争力低下による取引減少を懸念

さらに、現在価格転嫁を実施済みまたは検討中と回答した経営者に対し、コスト上昇分のうちどの程度を価格転嫁できる見通しかを聞いたところ、約5割がコスト上昇分の半分以下しか価格転嫁できないと見込んでおり、コストを十分に価格に反映することの難しさがうかがえる(図表3)。

コスト上昇分のうち価格転嫁できる割合の見通しを示す図表。約5割が価格転嫁できるのはコスト上昇分の半分以下にとどまると回答

消費者が受け入れやすい値上げの理由は「原材料の高騰」

消費者1,000人を対象とした調査では、中東情勢の不安定化が今後日本の物価に影響すると考える人が9割超に上った。影響が出ると考える項目の内訳では、ガソリン代や電気・ガス代(86%)、日用品価格(75%)、食品価格(70%)などが上位に挙がった。

また、今後1年以内の商品・サービスの値上げに対して、日用品、食品をはじめ、外食やガソリンなど幅広いカテゴリーにわたって約6割の消費者が5%程度まではやむを得ないと認識していることがわかった(図表4)。

商品・サービスごとの値上げに対する受容度(今後1年以内の値上げ)を示す図表。約6割が商品・サービスの5%程度の値上げをやむを得ないものと認識

これらの調査からは、企業側は引き続き値上げによる顧客離反を根強く懸念する一方で、消費者は市場環境に適応してきており、一定程度の幅であれば値上げを受容する余地ができてきていることがうかがえる。

さらに、約5割の消費者は、値上げ理由についての明確な説明があれば企業の値上げを受け入れやすくなると回答し、企業によるコミュニケーションが消費者の値上げ受容度に大きく影響することが明らかになった。また、値上げの理由として受け入れやすいものを聞いたところ、約4割の消費者が「原材料高騰への対応」を挙げた一方で、「人件費上昇への対応」や「品質・サービスレベル維持のため」は約1割にとどまった。

調査を担当したBCGのマネージング・ディレクター&パートナー、紀平 啓子は次のように述べている。「過去のデフレ期と比較して、価格は外部環境の変化によって柔軟に動くものだという認識が消費者・企業双方に広まってきている。企業にとって価格変更は現実的な選択肢になりつつあるが、顧客離反などへの懸念も根強くあり、実際に納得感がない値上げによって大きく売上を落とした例もある。顧客や消費者の納得感を得るには、適切な幅を見極めたうえで、消費者がフェアだと感じられる理由を伝えることが求められる。そのため、企業は自社戦略との整合性を保ちながら、継続的に価格を最適化できるプライシングの組織能力を高めていくことが重要だ」

■調査資料

中東情勢の不安定化に伴うコスト上昇を背景とした値上げに関する調査

調査概要

中東情勢の影響に関する経営者調査:年商100億円以上・従業員数300名以上の会社経営者(創業者・オーナー経営者など)および会社役員(取締役・執行役員など/経営層)を対象にオンラインで実施

  • 実施時期: 2026年4月10日~4月13日
  • 回答者数: 110名

消費者調査:全国の18歳以上の男女を対象にオンラインで実施

  • 実施時期: 2026年4月14日
  • 回答者数: 1,000名
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