2024年に注目すべき経済トレンドと必要とされる経営能力

翌年のビジネスを考えるうえで経営者が押さえておきたいトピックを、BCGのエキスパートが解説するシリーズの最新刊『BCGが読む経営の論点2024』(日本経済新聞出版)が2023年11月に発売された。先を見通すのが難しいこの時代、変化を察知し、それを踏まえて自社の能力を最大限に発揮させる力がますます求められている。2024年を迎えるにあたり注目すべき重要なトレンドについて、本書から抜粋して紹介する。

エネルギー大変革時代に日本企業は“賢い需要家”を目指せ

化石燃料から再生可能エネルギーへの転換は、気候変動対策としてだけでなく、資源価格の高騰やエネルギー確保の課題を解決する切り札としても重要になっている。何もせずとも安価なエネルギーが簡単に手に入る時代は終わった。エネルギー激変時代をどう乗り越え、チャンスとするかを考える。

人間の発想を超える生成AIのインパクト

生成AIは、人類が新たに手にした強力なテクノロジーだ。ビジネスのあり方や私たちの働き方を一変させる可能性を持つ。企業がこの技術を有効に活用し、優位性を築くにはどうすればいいか。金融、製薬、ソフトウェアなど先進的な業界の取り組みを参考にしながら、日本企業の勝ち筋を探る。

対応を迫られる生物多様性 解決策は循環型経済

気候変動に続く新たな経営課題として生物多様性の保全が浮上している。脱炭素化は「引き算」方式なのに対し、生物多様性はさまざまな要素が相互に絡み合う「複雑系」。解決策として、気候変動、生物多様性、そして自社の競争優位性への「三方よし」となりえる、循環型経済を取り上げる。

経済安全保障に対応したサプライチェーンを構築する

米中経済対立やロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ地区侵攻など、地政学上の問題がビジネスの不確実性を高めている。特にサプライチェーンはこれらの影響を直接受ける領域だ。海外先進企業の事例を紹介しながら、グローバル競争に勝ち抜くために日本企業が採るべき施策を解説する。

インフレ時代に求められる戦略的プライシング

デフレが長く続いた日本では、コスト削減や値下げに注力するあまり、「値付け」戦略に企業の注意が向いてこなかった。しかし、原材料費や物流費の高騰、円安を受けて日本経済もインフレに転じる中、どの企業もプライシング能力を高める必要がある。B2C、B2Bの両方の観点から適切な値付けを考える。

日本企業がイノベーション能力を取り戻すには

かつて革新的とみなされていた日本企業だが、最近はイノベーションに関して思うような成果を出せないという声も多く聞く。BCGが調査・発表している「イノベーション企業ランキング」でも、15年前の結果と比べ日本の存在感は低下している。日本企業が再びイノベーションの力を取り戻し、世界で競争力を発揮するには何が必要かを考察する。

どう成長するか 必要なのは「事業開発力」

既存事業を軸とした過去の成功の方程式が通用しなくなり、ビジネスモデルの変革や新規事業への参入が成長戦略の中核に位置づけられつつある。事業開発力を高めるために何が求められるのか。切り札はM&Aの活用だ。経営層の大きな悩みとなっている「どうやって成長するか」というシンプルな問いに解決策を示す。

日本企業は人材ポートフォリオの見直しが急務

人口減少や働き手の価値観の多様化に伴い、改めてヒトの重要性に注目が集まっている。組織を支える人材をどう確保するか。人事の枠を超え、「人材戦略」として経営レベルで考えるべきテーマだ。人材ポートフォリオの考え方や人材育成にも光を当てながら、日本企業に必要な人事からの「発想の転換」を解説する。