プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)の概念【BCGクラシックス・シリーズ】

公開日 : 2026.08.12
著者 :
ボストン コンサルティング グループ

経営戦略を学んだことがある人にはお馴染みの「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」。花形製品、金のなる木、問題児、負け犬——4つの象限からなるこのフレームワークは、BCGが1970年代に提唱したものだ。昔も今も、そしてこれからも、企業は「限られた資金をどの事業に配分すべきか」という問いに向き合い続ける。ポートフォリオ全体を俯瞰し、資源配分の最適化を考える原点として、あらためてPPMを紹介する。

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あらゆる企業は多かれ少なかれ、資金的制約を受けている。また、ほとんどの企業は各種各様の製品ラインを保有している。このような場合、果してどのような基準に則して、限定された資金を各製品ラインに配分するのが妥当であろうか。「プロダクト・ポートフォリオ」は企業の長期的資金配分を決定するための有効な理論武器であると同時に、それはすぐれて実践的な、経営戦略のための理論でもある。

製品ラインを決める2つの要因

まず資金的な観点からみた場合、数多くの製品ラインを性格づける要因として2つのものが考えられる。すなわち、(1)その製品の市場の成長率、(2)その製品の市場における自社の競争上の地位(相対的マーケット・シェア)である。

・ある製品の利益率と現金流入量は、その製品の市場における競争上の地位如何によって決まってくる。最大の競争相手とのマーケット・シェアの比率を見れば、自社製品のコスト上の位置を測定することが可能であり、通常、同一製品については競争企業間で市場価格に大差が見られないことから、この相対的マーケット・シェアの高低が、利益率の高低と直接結びついてくることになる。

・マーケット・シェアの維持に必要な投資資金量は、市場の成長率の関数としてとらえることができる。とくに高い成長期にある製品の資金需要はきわめて大きく、マーケット・シェアを維持するためだけにでも、その製品が生み出す収益をはるかに越える額の投資が必要である。

・マーケット・シェアは努力なくして自然に手に入るものではない。積極的にマーケット・シェアを拡大し、利益を向上させるには、さらに余分の資金を必要とする。

・どのような製品(事業)も、市場において無限に成長し続けることはできない。そして成長が鈍化し始めたとき、初めて過去の”成長の果実”を手に入れることができる。”成長の果実”とは、その製品から生み出され、もはやその製品に再投資する必要のない現金を指す。

4つのタイプ

以上のことから明らかなように、すべての製品ラインにおける現金の流出入は、市場の成長率と、競争相手とのマーケット・シェアの比率(相対的マーケット・シェア)との関数として表わすことができる。また、この関係は以下のように図示して考えると理解しやすい。

プロダクト・ポートフォリオについて4つの象限を表した図

この図に示された4つの象限は、それぞれ以下のような特徴をもっている。

「金のなる木」

相対的マーケット・シェアが高い反面、成長率の低い製品を「金のなる木」と呼ぶ。この製品の特徴は、シェアの維持に必要な再投資分をはるかに越えるほど多大の現金流入をもたらすことである。

「花形製品」

高成長分野で相対的に高いマーケット・シェアを占めている製品は「花形製品」であり、現金の流入量も多い反面、成長のための資金需要も大きいため、差引きしてみるとかならずしも現金を創出するかどうかはわからない。しかし、その市場でトップの座を占めている限り、成長が鈍化した時には、再投資の必要性が減り、大きな現金創出源となる。

「負け犬」

成長率も低く、相対的マーケット・シェアも低い製品は「負け犬」である。この製品は現金の流入量が少なく、さらに景気変動などの外部要因によって利益率が大きく左右されやすいという特徴を持っている。

「問題児」

高成長期の製品ではあるが相対的マーケット・シェアが低い製品は「問題児」である。この種の製品はほとんどの場合、現金流入額よりもはるかに多くの現金流出(投資)を必要とする。もしその投資を行なわなければ他企業に遅れをとることになり、遂には市場から消滅してしまうことになる。また、たとえその投資が行なわれたとしても、単に現在の低いシェアを維持する程度の投資にとどまった場合は、市場の成長が止まった時点で、今度は完全な「負け犬」にならざるを得ない。

すべての製品は市場の成長率が鈍化した段階で「金のなる木」か「負け犬」のいずれかになる。そしてどの製品も、最終的に資金創出源すなわち「金のなる木」にならない限り、企業に対して資金的に貢献することにはならないのである。

いかなる企業にも、資金を投入して育てる製品が必要であると同時に、その資金を生み出す製品が必要である。そして、均衡のとれた製品の組み合わせ(プロダクト・ポートフォリオ)に成功した企業のみが、安定した成長を約束される。 すべての製品(事業)は、上述したような4つのタイプのうち、いずれかの性格を持っている。どのタイプに属するかによって、企業の全体的なポリシーに対する意義なり役割はそれぞれ異なる。したがって、投資決定や業績評価の際に単一の尺度で判断を下すことは、かならずしも妥当でないことは容易に理解できるだろう。

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