CEOの7割超が高いストレス水準に、経営陣内で自らを脅かす存在はCFO

BCGは世界の売上高1億ドルから50億ドル超の企業を率いるCEO(最高経営責任者)500人を対象に、ストレス要因に関する調査を実施した。7割超が高いストレス水準にあり、業績へのプレッシャーなど短期課題への対応に追われていることがわかった。また、4分の1以上のCEOがCFO(最高財務責任者)を自らの職位を脅かすリスクが最も大きい存在として挙げた。

ストレス要因の上位は成長目標などの業績プレッシャー

CEOに対し、直近の四半期における仕事上のストレスを0(ストレスなし)から100(極度のストレス)までのスコアで評価してもらった結果、7割超が臨床的に高ストレスとされる水準にあり、平均ストレススコアは66.7に達する。ストレスの主な要因としては、「成長目標の達成」や「コスト管理」など従来型の業績に対するプレッシャーが上位を占めている(図表1)。また、回答者の57%が短期的な課題に多くの時間を割かれていると答えており、長期的なリスクや機会への対応が後回しになっている可能性が示唆されている。

CEOの主なストレス要因

社内の身近なステークホルダーが大きなプレッシャー要因に

また、ステークホルダー別にみると、最も大きなストレス要因となっているのは「取締役会」であり、「従業員」や「経営陣」がこれに続く(図表2)。CEOの9割近くが取締役会と強い関係性を築いていると答えているにもかかわらず、最もストレスの大きいステークホルダーに位置付けられている。CEOの3人に1人が、6カ月前と比べて、取締役会に対してより多くの成果を示さなければならないと感じている。

CEOが最も大きなストレスを感じるステークホルダー

経営陣は、ストレス要因の上位3位に入っている。特に売上高が50億ドル以上の大企業のCEOにとっては、経営陣が最大のストレス要因だった。なかでも注目されるのがCFOの存在だ。最高経営幹部の中で、自らの職位を脅かすリスクが最も大きい存在として、26%のCEOがCFOを挙げている(図表3)。
CFOは取締役会のメンバーと近い関係にあり、財務実績や業績見通し、資本配分、リスクについて定期的に報告しているため、信頼性と影響力の双方を獲得しやすい。その結果、時間の経過とともにCEOの有力な後継者と見なされる可能性がある。

優れた後継者は、すべてのCEOにとって引き継ぎに向けた重要な存在ともいえる。しかし、業績の不振や外部環境の不確実性が高まる局面において、自らのすぐ近くに後任候補がいる状況に置かれれば、CEOにとって自分の立場が危うくなっていると感じるのも無理はない。

CEOが最高経営幹部の中で自らの職位を脅かす最大のリスクとなる存在

「株主アクティビズム」や「従業員の不満」は見落とされている可能性

調査では、CEO交代と密接に関連する要因のいくつかが、現在のストレス要因としては相対的に低く位置付けられていることも明らかとなった。
具体的には、以下が挙げられる。

株主アクティビズムへの関心の低さ
アクティビスト(物言う株主)のターゲットになることでCEO交代の可能性が24%高まることが明らかになっているにもかかわらず、アクティビストはストレス要因としては下位グループに位置付けられている。短期的な業績達成へのプレッシャーが強まる中、長期戦略を支持する株主基盤を十分に構築できていなければ、業績が揺らいだ局面でアクティビズムが現実のリスクとして浮上する可能性がある

従業員の不満への過小評価
従業員の純増率1が10%低下した場合、CEO退任の可能性は12%高まる。一方で、従業員の不満は多くのリーダーにとって優先度の高い課題とはなっていない。従業員の不満の高まりに懸念を示すCEOは半数未満にとどまっており、対応が不十分なままであれば離職の増加につながる可能性がある

AI――将来的には圧力となる可能性も
投資リターンへの期待が高まる一方で、AIはストレス要因としては11項目中9位に位置している。CEOの84%が、イノベーションの必要性に対してストレスよりも意欲を感じていると答えている。これは、AIがCEOの日々のプレッシャーの源となる短期的な成長やコスト削減といった成果にまだ十分に結びついていないためと考えられる。しかし、CEOがAIに関する発表を行うたびに市場の期待は高まっていき、より早期に成果を示すことを求められる可能性がある

調査では、多くのCEOが自らの役割を孤独なものと感じており、取締役会、従業員、経営陣をはじめとするさまざまなステークホルダーからのプレッシャーを一手に引き受け、心理的に大きな負担を抱えている現状が浮き彫りとなった。

BCGミュンヘン・オフィスのマネージング・ディレクター&シニア・パートナーで、本調査の共著者であるジュディス・ウォーレンシュタインは、次のように述べている。「短期的な目標の達成と長期的な成長の両立は、これまでもCEOにとって大きなストレス要因だった。しかし現在では、より短い時間軸で、より目の肥えた取締役会の厳しい監視の下でそれを実現する必要がある。取締役会自身も強いプレッシャーにさらされており、その緊張感がCEOに伝わっている」

■ 調査概要
CEOへのアンケート調査と、S&P 1200構成企業におけるCEO交代に関するデータ分析を組み合わせたグローバル調査
・ CEOへのアンケート調査:
調査期間: 2026年1月7日~21日
調査対象:売上高1億ドルから50億ドル超の企業を率いるCEO500人

・ CEO交代に関するデータ分析:
過去5年間のS&P 1200構成企業における実際のCEO交代データを目的変数とし、ロジスティック回帰分析を用いて、次四半期におけるCEO交代の可能性を予測。説明変数には、従業員の純増率、決算説明会におけるセンチメント分析、ネガティブな報道、TSR(株主総利回り)などが含まれる

■ 調査レポート
What (and Who) Is Keeping CEOs Up at Night?」(2026年4月)

  1. 従業員の純増率は、一定期間における新規採用者数と退職者数の差を、総従業員数に対する割合として示したものと定義される。本調査における算出は、年次の報告データに基づいている ↩︎

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