世界運用資産残高は147兆ドルで過去最高、日本も13%増――BCG調査

公開日 : 2026.06.29
著者 :
ボストン コンサルティング グループ

ボストン コンサルティング グループ(BCG)が毎年発表している資産運用市場と運用会社の動向についてのレポート、グローバルアセットマネジメント・レポートによると、2025年末の世界運用資産残高は前年比11%増となった。今回のレポート発表は24回目となる。

運用資産残高は過去最高も、収益成長の80%超は市場パフォーマンスに依存

BCGは、2025年末の世界の運用資産残高を147兆ドルと推計している。前年(132兆ドル)に引き続き、過去最高額を記録した。日本における運用資産残高は13%増の6.4兆ドルと、アジア太平洋地域では中国に次いで2位の市場規模となっている。一方で、世界全体の新規流入資金は年初の運用資産残高の約2.2%にとどまり、業界の収益成長の80%以上は市場パフォーマンスによってもたらされている(図表)。

左グラフは2005年から2025年にかけての世界の運用資産残高推移(兆ドル)で、38兆ドルから147兆ドルへと拡大し、2025年は前年比11%増。右グラフは年初の運用資産残高に対する新規流入資金の割合(%)で、2025年は2.2%にとどまる。

2010年以降、運用資産残高は約3倍に拡大したものの、業界の利益率は約30%前後で横ばいが続いている。手数料率の低下や技術投資の拡大によって収益の伸びをコスト増加が上回り、収益性が低下する構造となっており、「規模の拡大が自動的に収益性を高める」という従来の前提は揺らいでいる。

また、投資家が投資対象とする商品を選ぶ前に販売会社やプラットフォームが商品を絞り込んでいるため、市場拡大の恩恵を受けられる企業数も限られている。例えば米国のパッシブ運用(株価指数に連動した運用成績をめざす投資手法)では、過去10年間の資金流入の90%以上を上位10社が獲得している状況だ。資産運用業界において資金の流れを決めるのは運用成績よりも顧客へのアクセスを持てるか否かという点になりつつある。

AIとトークン化が競争環境を変革、オペレーションモデルの見直しが不可欠に

このような環境下で、資産運用会社の成長のカギを握るのがAIとデジタル化への対応だ。AIの進展により、従来の差別化要因は縮小し、人を増やさず、扱える資産や顧客を増やせるようになっている。BCGの試算結果によると、資産運用会社は今後3〜5年でコストを25〜35%削減できる可能性がある。投資対象の調査範囲は2〜5倍に拡大し、顧客担当者1人あたりの顧客対応数は3〜5倍に増加、顧客ごとに最適化された投資提案をより迅速かつ大規模に提供できるようになると見込まれる。

一方で、多くの企業では依然としてAIの導入が試験段階にとどまっており、オペレーションモデルを抜本的に見直せない企業は、AI活用を前提とした競合他社に後れを取るリスクがある。

また、資産のデジタル化(トークン化)と暗号資産などデジタル資産の拡大も、市場構造を変える新たな要因となっている。トークン化された実物資産の市場規模は、2030年までに14兆ドル、2035年までには55兆ドルに達すると見込まれており、新たな販売網や商品設計の可能性を広げると同時に、大手が築いてきた販売網や規模の優位性を揺るがす可能性がある。

レポートの共著者であり、BCG東京オフィスのマネージング・ディレクター&パートナーの栗原 勝芳は次のようにコメントしている。「市場環境に支えられた従来通りの成長が難しくなってきている中で、これからは顧客との関係をいかに深め、独自の価値を提供できるかが重要になる。日本の資産運用会社には、自社の強みに立脚した脱平均的な戦略への転換が求められている」

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