日本支社長のダボス会議レポート①――「信頼の再構築」へ議論深める場に
BCGの代表団の一員として世界経済フォーラム(WEF)に参加すべく、ダボスに来ている。このスイスの山奥で世界のリーダーたちの議論が活発に交わされている。
初日の日中は穏やかに晴れたが、夕方から夜は本格的な雪となり、外の気温はマイナス、昨年以上に雪景色が濃くなった。なぜこのような不便な場所で開催されるのか。要人警護の目的に照らすと、会場に通じる道が一本しかないため、守りやすいと言われることがあるが、それは後付けの理由のようだ。
1971年の設立当時は「ヨーロッパ経営フォーラム」の名称で、欧州の経営者中心の集まりだった。欧州有数のリゾート地であるここで開催されてきたが、関係者の努力もあり、グローバル化を推進して世界をよりよい場所にするとの旗印の下、世界のリーダーが集まる場へと昇華した。出席者たちは、組織ではなく個人と個人の付き合いを深められる貴重な場として交流を深めている。「おしゃべりの場」を軽視することは、民主主義の推進力を無視することと同義である、とはフォーラム創設者のクラウス・シュワブ氏の言葉だそうだ。
私もBCGのグローバルリーダー陣と再会し、世界の経済状況や共通の経営課題などについて意見を交換した。
参加者の構成は欧州から40%弱、米国が30%弱、アジアは16~17%。ぜひ日本、アジアの存在感を大きく示して欲しいと思う。
今年のテーマは「Rebuilding Trust(信頼の再構築)」。ウクライナ、中東をはじめ世界情勢が不安定をなす中で、気候変動の影響を踏まえたうえでの信頼ある行動、生成AIの利用がグローバルに加速していく中での信頼の獲得など、いろいろな側面でTrustが求められている。ぜひ思索を深めたい。