経営企画に求められる「聞く力」とは  BCG流・真意を引き出す対話力

相手の言葉の裏にある「真意」を探ることに❝全振り❞する

しっかりと事前準備をしたうえで、会議中はどのような点を意識して相手の話を聞き、議論すれば良いのだろうか。BCGでは、相手の話を聞く姿勢として「発言の裏にある真意は何か」に意識を❝全振り❞して聞くことを徹底している。

相手が話している際、発言内容はもちろんのこと、表情や声色、身振り手振りにも注意を払いながら、言葉の裏側や行間を探ることに全集中する。その際、前述した相手の「考え」と「バックグラウンド」のフレームワークや、事前に準備・想定した内容との齟齬も意識しながら、相手の発言の裏側にある要素の仮説を検証するように、質問や確認を投げかけて深掘りをしていくと良い。

優秀な企画担当者は、単に経営層の話を聞いて理解するだけではなく、対話を通じて彼らの考えやその背景にある要素の言語化を助け、思考の整理と進化を促す。逆に、よく見られる悪い例は、経営層からの質問や反対意見に即答できるよう、相手の発言を聞きながら、頭の中では「こう聞かれたらああ答えよう」「ここを突っ込まれたらこう返そう」といった、次の自分の発言内容に意識の大半を使ってしまうことだ。

筆者自身、BCGに入る前は銀行の企画部署で仕事をしており、当時は「担当役員や上司からの質問に対して、いかに迅速かつ正確無比に答えられるかが企画担当者としての実力である」と勘違いしていた。また、周囲の同僚も同じようなスタンスで役員とのミーティングに臨んでいたように記憶している。もちろん事前準備は不可欠だが、対話の際は「正確に答えること」はいったん脇に置き、自分本位なスタンスから、相手の考えを探るスタンスに意識的に切り替えることが重要だ。そうすることで、経営者や役員の真意を効果的に引き出すための「聞く力」が身につく(図表3)。

「聞く力」が低い状態と高い状態を対比して示した図表。聞く力が低いと、次の自分の発言を思考しているが、聞く力が高いと、相手の発言や声色に注目しながら背景や真意を思考する

聞く力≒自分を滅し、相手を想う力

「聞く力」を向上させるための第一歩は、「自分の伝えたいこと」よりも、「相手を理解すること」を優先するマインドセットを持つことである。どれだけ素晴らしい内容を完璧なロジックと併せて準備しても、相手の考えやその背景にある想いとズレがある限り、それが十分に伝わることはない。聞くことと伝えることは実は表裏一体であり、「聞く力」を身につけることは「伝える力」にもつながっていく。

実際に、会議中に相手の真意をくみ取ると、事前準備していた内容が相手の意向と異なると判明することも多々ある。その場合、準備した内容に固執せず、柔軟に軌道修正しながらコミュニケーションすることで建設的な議論につながる。

しっかりと事前準備し、会議中は相手を想い、理解することに意識を向けることで、確実に「聞く力」は向上していく。ぜひ、今日からBCG流の聞き方・対話のやり方を実践してみてほしい。

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