2025年に向けて考えるべき世界の潮流と経営の論点

翌年のビジネスを考えるうえで経営者が押さえておきたいトピックを、BCGのエキスパートが解説するシリーズの最新刊『BCGが読む経営の論点2025』(日本経済新聞出版)が2024年11月に発売された。企業経営を取り巻く不確実性が増すなか、グローバルな視点で時代の潮目を読み取ることはより重要になっている。2025年を迎えるにあたり経営者が優先的に考えるべき論点を、本書から抜粋して解説する。

【自動車】EV化だけでない100年に一度の業界大変化

EV(電気自動車)について、市場の減速・停滞がさまざまなメディアで報じられている。ただ、これは一時的なもので、EV普及に向けた大きな流れは変わらないだろう。一方で、EV化以外にも、自動車業界の将来を考えるうえで重要な変化やトレンドが、ここ数年でより明確に見えてきた。日本企業に必要な中長期の戦略とは何かを解説する。

【物流】差し迫る危機をテクノロジーで乗り越える

物が当たり前には届かない時代が、すぐそこまで来ている。「物流の2024年問題」が取り沙汰され、危機感が高まる一方で、99%が中小企業で構成される日本の物流業界は労働集約型の業務運営から脱却できていない。打開の鍵を握るテクノロジーと自動化は、どうすれば進展するのだろうか。

【プライシング】組織能力構築で戦略的値付けを実現

近年、原価高騰などを背景に多くの企業が値上げに踏み切る一方、値上げを一過性のイベントであるかのようにとらえ、戦略的な値付けに至っていない企業も多い。プライシングの成熟度が高い企業は、収益性も高い傾向がある。日本企業が構築すべきプライシングの組織能力とは何か。

【半導体】日本の産業基盤を再構築する

かつて“半導体立国”として世界の先頭を走っていた日本。だが、グローバル競争のなかで勢いを失い、世界で戦える企業は減ってしまった。生成AIの普及やDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要に伴い半導体の重要性が高まる中、日本は再び半導体の製造・供給体制を強化し、産業として発展させることができるのか。

【生物多様性】自然資本を日本企業の強みに

生物多様性を顧みない気候変動対策はもはや通用せず、むしろ生物多様性の回復は気候変動問題の解決手段として注目されている。しかし、関連が強い農業や林業は個人経営や零細企業が多く、取り組みが進んでいない。生物多様性と気候変動を同時に改善し、日本の一次産業の構造的問題を解決するための方法を解説する。

【R&D】日本企業の能力を向上させる10の要諦

企業にとってイノベーションの創出は必須命題だが、日本企業は過去の勝ちパターンから脱却できず、世界のR&D(研究開発)の進化トレンドから取り残されているように見える。日本企業のR&Dの4つの課題とグローバル競争力再生への10の要諦を提示する。

【アクティビスト】投資家の視点を学ぶ

昨今、日本を舞台とする投資家と企業、あるいは企業間の攻防を見れば、もはやどの企業もアクティビストの活動を「他人ごと」として済ませられない。単なる防衛にとどまらず、彼らの提案から資本市場の考え方を取り入れ、企業価値向上の糧とするには何が必要か。

【スタートアップ】協働をイノベーションの起爆剤に

日本企業の事業環境は厳しさを増し、イノベーションは成長に不可欠だ。しかし、伝統的大企業では特に、革新的な製品・サービスは生まれにくい。この課題を打破する鍵のひとつがスタートアップとの協業だ。大企業はどのようにスタートアップと関わり、イノベーションの起爆剤としていくべきか。

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【生成AI】“大玉案件”が実装段階の鍵

※「第1章 生成AIを武器にする」の著者、陳 昭蓉と中川 正洋のインタビュー記事です。

世界の企業の生成AI活用は「実装段階」に進んでいる。特別な専門知識がない人でも一定程度活用できるからこそ、この技術を本質的に使いこなすことができるかが競争力の分かれ目といっても過言ではない。日本企業が成果を出すためのポイントを解説する。

【次世代エネルギー】脱炭素と競争力を両立させる

※「第4章 次世代エネルギーの推進」の著者、平 慎次とシュノッツ・ダニエル・慎偉のインタビュー記事です。

世界中で技術開発が進み、多種多様な領域で「脱炭素インフラ大構築時代」に突入している。水素や洋上風力といった次世代エネルギー競争の激化が見込まれるなか、日本の企業が脱炭素と競争力強化の二兎を追うためには、どのような戦略性を備えておくべきか。