2026年のビジネス環境を読み解く10の論点

その年のビジネスを考えるうえで経営者が押さえておきたいトピックを、BCGのコンサルタントが解説するシリーズ『BCGが読む経営の論点』。2025年11月に発売された最新刊『BCGが読む経営の論点2026』（日本経済新聞出版）では、これまでの常識が通用しない時代といえる2026年に、経営者が優先的に考えるべき10の論点を提示している。ビジネス環境の変化を読み解くカギを、本書から抜粋して紹介する。

BCGの創設者ブルース・ヘンダーソンが1960年代に説いたように、「経営において本当に重要なのは、表層に表れる第一階層の効果ではなく、見えにくい次の階層の連鎖である」。本書が取り上げる10の論点は、今という瞬間に潜む小さな兆しを読み解き、未来の可能性を展望する試みである。

――序章「これまでの常識が通用しない時代に、主体的に勝機を見極める姿勢を」

【世界貿易】米中対立と保護主義の行方を読み解く

米トランプ政権による関税の引き上げなどで世界の貿易環境は一変した。米国の保護主義的な政策と、それに紐づく米中対立が日本の企業やビジネスに与える影響は大きい。こうした状況はいつまで続くのか。それを知るには、グローバリゼーションがもたらした世界の構造変化を理解しなくてはならない。

【食料安全保障】異業種連携で生産量を拡大する

「令和の米騒動」では、高齢化による労働力不足や不透明な流通構造など、日本の農業が抱える課題が浮き彫りになった。食料の供給が不安定化すると、国家として政策選択の自由度を失う可能性すらある。生産量の向上とともに利益も上げられるシステムに転換し、日本の食料安全保障を確立するために企業は何ができるのか。