【更新】BCG、経産省による「令和6年度医療機関におけるPHR利活用推進等に向けた実証調査事業」における実証事業者を決定
経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、経済産業省から「令和6年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(医療機関におけるPHR[注1] 利活用推進等に向けた実証調査事業)」の執行団体[注2]として選定されたことを受け、実証事業者の公募を実施し、実証事業者を決定いたしました。本事業では、医療機関での導入や利用が容易なPHRサービス創出と、その成功モデルを通じた医療機関でのPHRサービスの普及促進のために、BCGが当該事業者を支援します。
BCGは、製薬企業、医療機器メーカー、医療機関、ヘルス&ウェルネスなどのヘルスケア関連の幅広い領域でクライアントを支援しています。また、テクノロジーやデジタルを駆使したビジネス、およびプロダクトビルディングを担う専門家集団BCG Xを中心に、新規事業の立ち上げ支援の豊富な実績も有しています。今回の実証事業では、BCGのヘルスケア領域やBCG Xのエキスパートが事業者を支援する予定です。
1.支援対象企業の決定について ※2024年7月25日更新
2024年5月9日(木)~5月29日(水)にて公募した「令和6年度医療機関におけるPHR利活用推進等に向けた実証調査事業」について、5月29日(水)までに受理された公募申請案件より、審査委員会を経て、以下6件を採択いたしました。(50音順。コンソーシアム参加者は7月25日現在。)
① 代表企業:株式会社インテグリティ・ヘルスケア
コンソーシアム参加者:医療法人社団鉄祐会祐ホームクリニック大崎、徳島大学 先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センター、三井不動産株式会社、他協力依頼中の医療機関あり
実証フィールド:医療法人社団鉄祐会祐ホームクリニック大崎、徳島大学病院、 他協力依頼中の医療機関あり
事業テーマ:セルラー型デバイスによる簡便なPHR収集と生活習慣病治療領域における活用促進の検証
② 代表企業:株式会社Welby
コンソーシアム参加者: 株式会社電通、一般社団法人都島区医師会
実証フィールド: 大阪市立総合医療センター、都島区医師会所属医療機関
事業テーマ: 生活習慣病の進展予防・管理及び病診連携における利用者(医療従事者及び患者)視点に立ったPHRの価値検証
③ 代表企業:オムロン ヘルスケア株式会社
コンソーシアム参加者:京都府立医科大学 循環器内科学
実証フィールド:京都府立医科大学附属病院、洛和会 音羽病院
事業テーマ:在宅における心不全ICT モニタリングプロジェクト
④ 代表企業:株式会社カケハシ
コンソーシアム参加者(実証フィールドごとに記載):
(1) 埼玉医科大学国際医療センター、アポクリート株式会社
(2)自治医科大学附属病院、株式会社ココカラファインヘルスケア、日本調剤株式会社、クラフト株式会社、株式会社アインホールディングス
(3)聖隷浜松病院、浜松医療センター、株式会社杏林堂薬局
(4)倉敷中央病院、ウエルシア薬局株式会社、株式会社マスカット薬局、総合メディカル株式会社
実証フィールド:
(1) 埼玉医科大学国際医療センター、薬局アポック
(2) 自治医科大学附属病院、ココカラファイン薬局、日本調剤、さくら薬局、アイン薬局
(3) 聖隷浜松病院、浜松医療センター、杏林堂薬局
(4) 倉敷中央病院、ウエルシア薬局、金光薬局、マスカット薬局、そうごう薬局
事業テーマ:保険薬局プラットフォームとPHR利活用を通した治療アウトカムの改善、医療機関向けPHR産業の創出、および医療資源の最適な分配の推進に関する実証事業
⑤ 代表企業:harmo株式会社
コンソーシアム参加者:医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院、京都大学医学部附属病院 医療安全管理部
協力団体:札幌市医師会手稲区支部、札幌歯科医師会手稲支部、札幌薬剤師会手稲支部
実証フィールド:医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院
事業テーマ:医療機関におけるPHRを活用した病棟薬剤管理業務DXによる安全性/効率化の実証
⑥ 代表企業:富士通株式会社
コンソーシアム参加者:滋賀医科大学医学部附属病院、 慶應義塾大学病院
実証フィールド:滋賀医科大学医学部附属病院、慶應義塾大学病院
事業テーマ:医療機関診療時における非在院時情報の活用効果検証および効果発信によるPHR活用市場創出
事務局連絡先:
「令和6年度医療機関におけるPHR利活用推進等に向けた実証調査事業」事務局(BCG)
E-mail: PHRiryou@bcg.com
2.本事業の実施の趣旨・背景について(公募要領より抜粋)
令和5年度実証事業では、一部の医療機関向けにPHRサービスを提供している事業者間で相互連携できる仕組みについて検討を行い、データ連携のあるべき姿について課題を含む検討内容を取りまとめた。患者からの同意取得の方法等、異なる事業者間で共通化を行えば相互連携が可能であることが検証できたものの、PHRのデータ項目に対する要求が診療科により異なるため疾患をまたいで共通化できる項目が少ないことや、医療機関でのネットワーク環境や業務プロセスに適応することが難しく、医療機関におけるPHRの利活用には課題が多い。
医療機関でのPHRサービス導入にかかる具体的な課題としては、上述の業務プロセス変更に伴う負荷の高さに加え、PHRデータを扱う医療従事者(医師・看護師・医療事務員等)の利用意向の低さやITリテラシに起因する課題、PHRを活用しても診療報酬等で手当てがなされず導入インセンティブが低いという経済的な課題が特定された。一方、患者のPHR利用に関しては、医師からの利用勧奨が有効であり、医療機関への導入が、PHRの普及には欠かせないことが報告されている。PHRサービス事業者の課題としては、上述の医療機関側の消極的姿勢も相まって、医療機関を対象にしたサービスの事業としての成功確度が高まらず、結果、投資が消極的になりがちなことが確認された。
医療機関での導入や利用が容易なPHRサービスを創出し、医療機関でのPHRサービスの普及を目指す。具体的には以下2点を本事業の目標とする。
(ア) 医療機関での導入や利用が容易なPHRサービスの創出
・医療機関のPHRサービス導入の負担を無くす、または軽減すること。
・医療従事者のITリテラシに配慮し利用が容易なPHRサービスを創出すること。
・特定の疾患・診療科における院内のオペレーションにPHRサービスが組み込まれていること。
(イ) 成功モデルの創出を通じた医療機関でのPHRサービスの普及促進
・実証事業の成果の発表等を通じて、事業者のPHRサービスの普及を促進すること。
目標の実現に向けて、本事業では患者が医療機関を利用する各プロセス(問診、治療、服薬、予後)におけるPHRサービスの導入・利用時の課題の解決を目指すと共に、医療機関及び患者へのメリット(医療従事者の業務時間の短縮、医療経済性の向上、患者のQOLの改善、治療アウトカムの向上等)を検証する。
(参考)経済産業省 公募案内はこちらから
[注1] Personal Health Recordの略。個人の健康診断結果や服薬歴等の健康等情報を電子記録として本人や家族が正確に把握するための仕組み。
[注2]実証事業者の公募、交付決定、確定、経費の交付等を実施し、実証事業の事務局業務、実施支援・管理、効果測定を行う。
■ 担当者
マネージング・ディレクター & パートナー
BCGヘルスケアグループのコアメンバー。
ヘルスケア業界内外の企業に対し、ヘルスケア領域における成長戦略や新規事業立ち上げなど幅広い支援を提供している。
マネージング・ディレクター & パートナー
BCG ヘルスケアグループのコアメンバー。BCG Xにて新規事業立ち上げやコーポレートベンチャリングをリードする。
■ 本件に関するお問い合わせ
ボストン コンサルティング グループ マーケティング 小川・中林・福井
Tel: 03-6387-7000 / Fax: 03-6387-0333 / Mail: press.relations@bcg.com