10代後半の4人に1人が「環境問題を知り、行動を変えた」と回答――サステナブル消費者調査
ボストン コンサルティング グループ(BCG)が日本の消費者を対象に行った最新の調査によると、10代後半の24%が「地球温暖化や気候変動問題を知って行動を変えた」と回答した。今回が9回目となる調査を基に、消費者のサステナビリティへの意識を深掘りし、行動変容へのきっかけを探る。
環境問題に関する情報源として学校を挙げた10代後半は32%
調査は日本全国の15歳から69歳までの3,300人を対象に実施した。「地球温暖化や気候変動問題を知って行動を変えた」と答えた割合を年代別に見ると、10代後半が24%と最も高く、続いて40代と60代(ともに21%)となった(図表1)。
「地球温暖化・気候変動問題」に関する情報源を聞いたところ、10代後半が「学校・職場での研修や授業・セミナー」を挙げた割合は32%に上った(図表2)。これは他の年代の「学校・職場」との回答(10%未満)と比較して高く、学校教育が10代後半の消費者の環境意識に大きな影響を与えていることがわかる。
環境負荷の少ない商品を購入する理由は「気象の変化を感じるから」
「環境負荷の少ない商品を買いたい」と回答した消費者は全体の66%であり、「環境負荷の少ない商品を選んでいる」と回答したのは約半分の31%だった。これは前回調査とほぼ同じ水準で、消費者の行動変容は進んでいないといえる。
環境負荷の少ない商品を購入している人にその理由を尋ねたところ、最も多い回答は「気象の変化を感じるから」だった(図表3)。
年代別にみると、10代後半の回答は、「気象の変化」(44%)に次いで「学校での学び」(39%)だった(図表4)。
調査を担当したBCGのプリンシパル、伊原彩乃は次のようにコメントしている。「10代後半の回答をみると、気象変化の実感と学校教育による知識・思考が組み合わさることで、単なる関心喚起にとどまらず、実際の行動変容にも影響を与えていると考えられる。
一方、環境負荷が少ない商品の購買に踏み出せない最大の理由は、過去の調査と変わらず「情報不足」だ(図表5)。「環境によい」「エコ」といった漠然としたメッセージだけではなく、カーボンフットプリント、環境ラベルなど、製品やサービスの環境的側面を具体的・定量的に伝える情報が必要となる。農林水産省・経済産業省・環境省など政府での検討が進んでおり、BCGもご支援している。今後の展開が期待される」
■ 調査資料
「サステナブルな社会の実現に関する消費者意識調査結果」
環境問題をはじめとしたサステナブルな社会の実現に関する消費者意識の変化を定点的、かつ長期的に観測する調査。態度変容の兆しやフックとなる情報・事象の把握、購買行動変化の兆しをつかむことを目的とし、2021年2月から調査を実施。