仕事で移住したい国1位はオーストラリア、日本は6位――BCG調査
ボストン コンサルティング グループ(BCG)が世界の労働者を対象に行った最新の調査結果によると、4人に1人が積極的に国外での就職を希望していることが分かった。移住先で最も人気が高いのがオーストラリア。日本は6位だった。世界の労働者の国外への移住に関するトレンドから、新しい働き方のヒントを探る。
世界の労働者の4人に1人が積極的に国外での就職を希望
調査は、大手人材紹介サイトが加盟するグローバル・アライアンスThe Networkと世界有数のデジタル採用プラットフォームStepstone Groupと共同で、日本を含む188カ国、15万人以上の労働者を対象に行った。回答者の23%が積極的に国外での就職を希望しており、特にアフリカなど若年層、および人口が急増している国の出身者にその傾向が強いことが明らかになった。
また、仕事で移住したい国を尋ねると、オーストラリアが1位で最も人気が高く、次いで2位が米国、3位がカナダという結果になった。日本は6位だった(図表1)。都市別では、ロンドンが1位で、2位がアムステルダム、3位がドバイとなり、東京は9位だった(図表2)。
国外へ移住したい理由を尋ねると、「経済的な理由」と答えた回答者は64%、「職務経験などキャリア上の理由」が56%だった。多くの労働者が、収入の向上や仕事経験の充実化などキャリアアップを目指して移住していることが明らかになった。
イノベーション・デジタルの取り組みが他国に比して日本の魅力に
日本に移住したいと回答した労働者にその理由を尋ねると、「就業機会の質 」が68%と最も多く、次いで「生活の質や気候」が61%、「治安」が52%となった。他の国に比べ、「治安」(52%)や「イノベーションとデジタル化」(50%)を理由に挙げる回答者が多いことがわかる(図表3)。
BCG東京オフィスのマネージング・ディレクター&パートナーで、組織・人材グループの日本リーダーの竹内達也は「日本は魅力的な就労先として世界第6位であり、特に全体傾向に比して『イノベーションとデジタル化』を理由とした回答が目立って高い傾向がある。安定した社会・生活環境に加え、キャリア機会の魅力にも直結するイノベーション・デジタルの取り組みは、日本が優秀な外国人労働者を惹きつける差別化要因として注目に値する」とコメントしている。
海外移住に意欲のある労働者が国や企業の競争優位性と成長の源泉に
また、回答者の10人中8人が住居(79%)やビザ・労働許可証(78%)の支援を、半数以上が引っ越し(69%)や語学・研修(54%)の支援を求めていることが明らかになった。この結果から、国外に移住する労働者が、雇用主に対して、移住や入社のサポートを行い、国際的な多様性を受け入れる文化を培うことを強く期待していることがわかる。
BCGデュッセルドルフ・オフィスのマネージング・ディレクター&シニア・パートナーで、HRエクセレンス部門を率いるイェンス・バイアーは次のように述べている。「他国は素晴らしい人材の供給源になり得える。企業は、これまで選択肢に入れていなかった市場や地域で人材を探す必要があるかもしれない。政府は、雇用主が必要とする人材を自国に招き入れるための政策、インセンティブ、枠組みを確立しなければならない。何百万人という海外へ移住する意欲を持つ労働者の前向きなエネルギーをうまく活用すれば、雇用主も国も、大きな競争優位性と成長の源泉を獲得できる」
■調査資料
「Decoding Global Talent 2024」
日本を含む世界188カ国の男女を対象にオンラインで実施。回答者の過半数を20~40代が占め、約4分の3は学士以上取得者。
・実施時期: 2023年10月~12月
・回答者数: 15万735人