ファッション・高級品の中古市場、2030年までに最大3,600億ドルに~BCG、ヴェスティエール・コレクティブ共同調査

BCGと中古ファッション・高級品販売の世界的プラットフォームであるヴェスティエール・コレクティブは、同社の利用者7,800人を対象に、2025年4〜5月に共同調査を実施した。その結果、中古ファッション・高級品は、すでに人々の購買行動に浸透していることがわかった。

ファッション・高級品の売上全体のうち中古品は約8%を占める

調査によると、ファッション・高級品の中古市場規模は、2022年の約1,300億ドルから2025年には約2,100億〜2,200億ドルへと成長していることが明らかになった。今後5年間も成長は続き、年平均成長率は新品市場の約3倍にあたる10%前後で、2030年には市場規模が約3,200億〜3,600億ドルに達すると予測している(図表1)。

現在、中古品はファッション・高級品の売上全体のうち約8%を占めており、循環型経済を後押しする施策が進む欧州を中心に市場は拡大している。中古市場では皮革製品、衣料品、靴が全体の約8割を占めている。その一方で、市場全体に占める比率は限定的ながらも、高級時計やジュエリーといった高価格帯の分野でも存在感が増しつつある。これらの分野では、価値が下がりにくいことや新品価格の上昇に加えて、耐久性やコレクション性のある商品への需要が拡大しており、認証技術の進展が消費者の信頼感をさらに後押ししている。こうした動きを背景に、レポートでは中古時計市場が2030年までに世界の時計市場の35〜40%規模に達する可能性があると予測している。

ファッション・高級品の中古市場規模は2030年までに最大3,600億ドルに達する見込み

中古ファッション・高級品を購入する動機として最も多かったのは「手頃な価格」で、回答者の約8割が主な理由として挙げた。加えて、「豊富な種類とユニークさ」(55%)、「環境への配慮」(40%)といった要素も、購入を後押ししている。
一方、売却の主な理由は「クローゼットの整理」や「副収入の獲得」だった。売却によって得た収入は、別の中古品購入(44%)や新品購入(18%)など、次の買い物の資金として使われるケースも多い。

Z世代が市場を牽引、中古品は「ブランドとの出会いの場」に

世代別に見ると、中古市場の成長を牽引しているのはZ世代(18~28歳)だ。Z世代の回答者は、所有するファッションアイテムの3割超を中古品が占めている(図表2)。購入の主要な動機は多くの回答者と同様に「手頃な価格」だが、上の世代と比べ、限定品や完売品などの掘り出し物を見つける楽しさや、自分らしいスタイルを磨く喜びから中古品を選ぶ傾向があることがわかった。
また、Z世代の約80%が「中古品を通じて新しいブランドを購入・認知した」と回答しており、中古市場が若年層にとって新たなブランドとの接点となっていることも明らかになった。

中古市場の拡大とともに、業界内で注目を集めているのが「デジタル製品パスポート(DPP)1」だ。DPP は、製品情報をライフサイクルのあらゆる段階で記録・管理する仕組みである。製品に紐づけられたICタグやQRコードをスキャンすることで、消費者や事業者が当該製品の詳細情報にアクセスできる。調査では、回答者の過半数が「正規品であることを証明できる仕組み」や「詳細な商品情報を把握できること」に価値を感じている一方で、DPPの認知度は依然として低く、65%が「聞いたことがない」、15%が「名称は知っているが理解していない」と答えた。

調査によると、消費者がDPPに最も価値を感じている機能は「認証・検証」で、購入時には70%、売却時には67%が重要だと回答している。これに次いで評価が高かったのが「製品仕様の詳細情報」で、購入時は68%、売却時は64%に上った。こうした傾向は、特にハンドバッグ分野で顕著だ。
回答者の79%が、ハンドバッグを「DPPを導入してほしいカテゴリー」として挙げている。ハンドバッグは高額で、購入にあたって慎重な判断が求められる商品であり、どこで、どのように作られ、どんな素材が使われているのか、環境負荷はどの程度かといった情報への関心が高まっている。こうした状況において、DPPは中古取引への信頼を高めるだけでなく、製品の透明性やサステナビリティに関する情報を通じて、購入時に参照できる判断材料を増やす。

レポートの共著者であるBCGデュッセルドルフ・オフィスのマネージング・ディレクター&パートナー、Catharina Martinez-Pardoは次のように述べている。
「DPPは規制に対応する必須事項にとどまらず、顧客との信頼構築に向けた戦略的なツールへと進化している。消費者の購入時の手間や不安を減らし、製品の真正性を保証するとともに、ブランドにとっては製品ライフサイクル全体で新たな価値を創出する機会を生み出している」

■ 調査レポート
Resale’s Next Chapter: How Fashion and Luxury Brands Can Win in the Secondhand Market

■ 調査概要
ヴェスティエール・コレクティブを利用する、中古品売買に積極的な消費者が対象

  • 実施時期:2025年4月〜5月
  • 回答者数:7,800人

  1. 製品情報をライフサイクルのあらゆる段階(製造、配送、使用、廃棄など)で、デジタル形式で記録・管理するシステムを指す。欧州を中心に導入が進んでおり、製品の情報や環境負荷を「見える化」することで透明性を担保し、消費者がより環境に配慮した選択をできるようにするねらいがある ↩︎
記事一覧へ